ある産婦人科医のひとりごと

備忘録、テーマはいろいろ

妊婦の耐糖能検査

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耐糖能異常スクリーニングとしての血糖検査については妊娠糖尿病の予後改善の観点から勧められる。推奨レベル(B)

GDMでは、奇形、巨大児、出産時障害、帝王切開率の上昇など多くの合併症が起こることがよく知られている。

GDMの診断基準の変更によりGDMの頻度は約4倍に増加すると考えられる。予備調査では、診断基準改定により妊娠中期のGDM頻度は2.1%から8.5%程度に増加する。

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効率よいGDMスクリーニング法は?

一般的に行われている3通りの耐糖能異常のスクリーニング法:
・ 随時血糖法: 食後時間は考慮せず血糖値を測定する方法で≧100mg/dLを陽性とする。
・ 空腹時血糖: 夜間絶食後の血糖値を測定する方法で≧85mg/dLを陽性とする。
・ 50gGCT(glucose challenge test)法: 食事摂取の有無にかかわらずブドウ糖50gを飲用1時間後の血糖値を測定し、≧140mg/dLを陽性とする。

「妊娠糖尿病のスクリーニングに関する多施設共同研究」では、スクリーニング特性は50gGCTが初期、中期ともに優れていた。コストパフォーマンスは初期には随時血糖法が、中期には50gGCTが最も優れていた。

中期に感度が最も優れた50gGCTを行う二段階スクリーニング法では初期随時血糖カットオフ100mg/dLでも効果が十分に期待できる可能性がある。

****** 産婦人科診療ガイドライン産科編2011

CQ005 妊婦の耐糖能検査は?

Answer

1. 妊娠糖尿病(GDM、gestational diabetes mellitus)のスクリーニングを全妊婦に行う。(B)

2. スクリーニングは以下に示すような二段階法を用いて行う。(B)
1) 妊娠初期に随時血糖測定(カットオフ値は各施設で独自に設定する)。随時血糖値≧200mg/dL時には、75gOGTTは行わず、Answer4の①~③の有無について検討する。
2) 妊娠中期(24~28週)に50gGCT(≧140mg/dLを陽性)、あるいは随時血糖測定(≧100mg/dLを陽性)。その対象は妊娠初期随時血糖法で陰性であった妊婦、ならびに同検査陽性であったが75gOGTTで非GDMとされた妊婦。

3. スクリーニング陽性妊婦には診断検査(75gOGTT)を行い、以下の1点以上を満たした場合にはGDMと診断する。ただし、2時間値≧200mg/dL時にはAnswer4の①~③の有無について検討する。(A)
① 空腹時血糖値≧92mg/dL(5.1mmol/L)
② 1時間値≧180mg/dL(10.0mmol/L)
③ 2時間値≧153mg/dL(8.5mmol/L)

4. 以下のいずれかを満たした場合には、“妊娠時に診断された明らかな糖尿病、overt diabetes in pregnancy”と診断する。
① 空腹時血糖値≧126mg/dL
② HbA1C≧6.5% (HbA1C(JDS)≧6.1%)  註
③ 確実な糖尿病網膜症が存在する場合
④ 随時血糖値≧200mg/dL、あるいは75gOGTTで2時間値≧200mg/dLで上記①~③のいずれかがある場合

5. GDM妊婦には分娩後6~12週の75gOGTTを勧める。“妊娠時に診断された明らかな糖尿病”妊婦では耐糖能について再評価する。

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(表1) 新しい妊娠糖尿病診断基準

定義:
妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus(GDM)は妊娠中にはじめて発見、または発症した糖代謝異常。しかし、overt diabetes in pregnancy(妊娠時に診断された明らかな糖尿病)はGDMに含めない。

診断基準:
1.妊娠糖尿病(GDM) 75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
① 空腹時血糖値≧92mg/dL(5.1mmol/L)
② 1時間値≧180mg/dL(10.0mmol/L)
③ 2時間値≧153mg/dL(8.5mmol/L)

2.妊娠時に診断された明らかな糖尿病 (overt diabetes in pregnancy) 以下のいずれかを満たした場合に診断する。
① 空腹時血糖値≧126mg/dL
② HbA1C≧6.5% (HbA1C(JDS)≧6.1%)  註
③ 確実な糖尿病網膜症が存在する場合
④ 随時血糖値≧200mg/dL、あるいは75gOGTTで2時間値≧200mg/dLで上記①~③のいずれかがある場合

註1. 国際標準化を重視する立場から、新しいHbA1C値(%)は、従来わが国で使用していたJpan Diabetes Society(JDS)値に0.4%を加えたNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値を使用するものとする。
註2. HbA1C<6.5%(HbA1C(JDS)<6.1%)で75gOGTT 2時間値≧200mg/dLの場合は、妊娠時に診断された明らかな糖尿病とは判定し難いので、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。

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・ 随時血糖≧200mg/dL時の対応

“妊娠時に診断された明らかな糖尿病”の疑いがあるため、50gGCTや75gOGTTは行わず(高血糖を招き危険である)、空腹時血糖ならびにHbA1Cを測定し、眼科受診を促す。

空腹時血糖値≧126mg/dL、HbA1C≧6.5% (HbA1C(JDS)≧6.1%)、あるいは糖尿病網膜症のいずれかがある場合には、“妊娠時に診断された明らかなと尿病”と診断する。いずれもない場合にはGDMと診断する。

・ 診断検査(75gOGTT)について

スクリーニング検査陽性妊婦に行い、Answer 3の①~③の1点以上満たした場合、GDMと診断する。0時間値(空腹時血糖)<126mgかつ2時間値≧200mg/dL時には、HbA1cを測定し、眼科受診を促し、HbA1C≧6.5% (HbA1C(JDS)≧6.1%)、あるいは糖尿病網膜症のいずれかがある場合には、“妊娠時に診断された明らかなと尿病”と診断する。いずれもない場合にはGDMと診断する。

ただし、HbA1C<6.5%(HbA1C(JDS)<6.1%)かつ75gOGTT 2時間値≧200mg/dLの場合は、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが望まれる。

・ GDM妊婦からの糖尿病発症

GDM妊婦は将来、糖尿病発症率が高いことが知られている。

GDM妊婦では糖代謝が落ち着いてくる分娩後6~12週の75gOGTTが勧められる。“妊娠時に診断された明らかな糖尿病”やhigh risk GDMに対しても同時期での耐糖能再評価が勧められる。また、妊娠時に耐糖能評価されていない妊婦で巨大児、肩甲難産を起こした場合、同時期での耐糖能評価が勧められる。

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妊娠初期高血糖と胎児奇形の関係

妊娠初期の血糖値と胎児奇形の関連が指摘されている。

糖尿病婦人では児奇形防止の観点から、HbA1c7.4%未満(理想は6.4%未満)(JDS基準ではそれぞれ、7.0%未満、6.0%未満)到達後の計画妊娠が勧められる。