ある産婦人科医のひとりごと

備忘録、テーマはいろいろ

子宮頚癌、組織分類

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A.上皮性腫瘍と関連病変

a.扁平上皮病変

 1)扁平上皮乳頭腫squamous papilloma
扁平上皮に異型がなく、線維と血管からなる茎をもつ良性の乳頭状腫瘍である。通常単発性で、子宮腟部あるいはSCJに好発する。HPV感染の所見は認めない。

 2)尖形コンジローマcondyloma acuminatum
乳頭状発育を示し、間質は線維と血管からなる良性腫瘍である。表層の扁平上皮にはHPV 感染の所見がみられ、通常koilocytosisの形態を示す。

 3)異形成-上皮内癌、
   CIN (cervical intraepithelial neoplasia)

異形成は、上皮の各層において細胞成熟過程の乱れと核の異常を示す病変と定義され、上皮内癌の基準を満たさないものとされる。具体的には、極性の消失、多形性、核クロマチンの粗大顆粒状化、核膜不整、異常分裂を含む核分裂像などを認める。その程度によって軽度異形成・中等度異形成・高度異形成に分類されている。

現在ではCIN を3 段階に分けて軽度異形成に相当するCIN1、中等度異形成に相当するCIN2、高度異形成および上皮内癌に相当するCIN3に分類することが国際的に主流となっており、わが国の取扱い規約でもCIN 分類が併記されることとなった。
 a)軽度異形成mild dysplasia(CIN1)
核異型を示すN/C 比の高い細胞が主として扁平上皮の下1/3に存在するが、上2/3は扁平上皮への分化が明瞭に認められる。細胞質は豊富であり、核異型は軽度である。HPV感染による細胞異型であるkoilocytosis は軽度異形成に含まれる。
 b)中等度異形成moderate dysplasia(CIN2)
異形成が上皮の下層2/3にある扁平上皮内病変である。
 c)高度異形成severe dysplasia(CIN3)
異形成が上皮の表層1/3に及ぶ扁平上皮ない病変である。上皮の層形成や極性の乱れは著しいが、完全には失われていない。
 d)上皮内癌carcinoma in situ(CIN3)
癌としての形態学的特徴をもつ細胞が上皮の全層に及ぶものをいう。本病変にはしばしば腺侵襲を伴うが、これは浸潤としない。

 4)微小浸潤扁平上皮癌microinvasive squamous cell carcinoma
微小浸潤癌とは癌細胞の間質内浸潤を組織学的に確認することができ、かつ浸潤の深さが表層基底膜よりも計測して5mm を越えず、またその縦軸方向の広がりが7mm を越えないものをいう。診断は円錐切除術かそれに準じた方法で行う。

 5)扁平上皮癌squamous cell carcinoma
重層扁平上皮に類似した細胞からなる浸潤癌であり,角化傾向を指標にして組織学的にa)角化型b)非角化型とに分類される。両者の鑑別は角化傾向が著明か否かであり、非角化型では角化はあっても単一細胞角化にとどまり角化真珠(癌真珠)は認められない。このほかに特殊型として疣状癌、コンジローマ様癌乳頭状扁平上皮癌リンパ上皮腫様癌がある。

b.腺上皮病変

 1)内頸部ポリープEndocervical polyp
頸管内へ突出し,内頸腺と線維性間質よりなる良性病変をいう.

 2)ミュラー管乳頭腫Mullerian papilloma
単発または多発の乳頭状病変で、ミュラ-管型の円柱上皮が時に扁平上皮化生を伴って細い線維血管性の茎の表面を覆って増殖する病変をいう。

 3)腺異形成glandular dysplasia
扁平上皮病変の異形成に相当するものとして腺異形成がある。核の異常が反応性異型よりも高度であるが、上皮内腺癌の診断基準を満たさない腺上皮の病変をいう。診断は円錐切除術かそれに準じた方法で行う。なお、腺異形成と上皮内腺癌との鑑別が困難な場合は上皮内腺癌として取り扱う

 4)上皮内腺癌adenocarcinoma in situ(AIS)
組織学的に悪性の腺上皮細胞が正常の内頸腺の構造を保ったまま上皮を置換して増殖するが、間質への浸潤を欠くものである。上皮内腺癌は同一腺腔内あるいは一連の被覆上皮内に、非癌円柱上皮と明瞭な境界を形成するという特徴を有する(フロント形成)。診断は円錐切除術かそれに準じた方法で行う。本病変は40~100%と高い確率で扁平上皮の異形成・上皮内癌・微小浸潤癌と共存し、それらの手術摘出検体中に偶然発見されることもある。術前細胞診での診断は困難であることが少なくない。

 5)微小浸潤腺癌microinvasive adenocarcinoma
正常の内頸腺領域に限局し、微小浸潤を示す腺癌である。微小浸潤とは腺癌上皮の間質への芽出を認め、その輪郭が滑らかなものをいう。診断は円錐切除術あるいはそれに準じた方法で行う。扁平上皮病変とは異なり、腺上皮病変では微小浸潤腺癌の細分類は行われない。なお、上皮内腺癌か微小浸潤腺癌かの判定が困難な症例は上皮内腺癌とされる。また、組織学的に明瞭な浸潤腺癌との鑑別が困難な例は浸潤癌とされる

 6)腺癌adenocarcinoma
 a)粘液性腺癌mucinous adenocarcinoma
浸潤腺癌のうち最も頻度の高いものは粘液性腺癌であり、腫瘍の細胞質内に粘液を認めることが特徴である。
  (1)内頸部型endocervical type
内頸粘膜の円柱上皮細胞に類似する粘液性腺癌をいう。さらに腺構造と細胞の分化度によって高分化型中分化型低分化型に分けられる。

また,特殊型として細胞異型や構造異型をほとんど伴わない(a)悪性腺腫adenoma malignum,特異な絨毛構造を有する(b)絨毛腺管状乳頭腺癌villoglandular papillary adenocarcinomaが付記されている。

  (2)腸型intestinal type
腸の腺癌と類似し、杯細胞と時に好銀細胞を伴う粘液性腺癌を指す。

 b)類内膜腺癌endometrioid adenocarcinoma
子宮内膜の類内膜腺癌と同様の組織像を示す腺癌をいう。本腫瘍と子宮内膜癌との鑑別は腫瘍の発生部位および占拠部位である。類内膜腺癌のほとんどは内頸部下端の変換帯に最も深い病変を認めるため、頸管内と体部にまたがる腺癌の場合、頸部の深達度が体部よりも大きければ頸部腺癌と診断する。一方、頸部と体部の境界である子宮峡部に限局して発生する腺癌は子宮体癌に分類される。

 c)明細胞腺癌clear cell adenocarcinoma
主として明細胞あるいはホブネイル細胞からなり、充実性、管状・嚢胞状、乳頭状構造あるいはこれらの組み合わせからなる腺癌である。

 d)漿液性腺癌serous adenocarcinoma

 e)中腎性腺癌mesonephric adenocarcinoma

c.その他の上皮性腫瘍

 1)腺扁平上皮癌adenosquamous carcinoma
腺癌と扁平上皮癌の両成分が移行・混在する癌

 2)すりガラス細胞癌glassy cell carcinoma

 3) 神経内分泌癌neuroendocrine carcinoma
  カルチノイドcarcinoid

  小細胞癌small cell carcinoma