ある産婦人科医のひとりごと

備忘録、テーマはいろいろ

地域周産期医療の現場で、我々が今なすべきことは何だろうか?

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このまま現状を放置すれば、地域の周産期医療は滅亡の方向にどんどん向かってゆく一方である。今、我々が早急に取り組まねばならないことは一体何だろうか?

現状では、地域の中核病院に分娩が集中する流れは止められそうにない。従って、まず、中核病院の産婦人科医、助産師の数を現状の2~3倍に増やしてゆく必要がある。しかし、医師供給元である大学病院自体が医師不足に陥っている以上、医師数の増員も急には難しいことは確かだ。現場の対応としては、まず、現在の業務内容を徹底的に見直して、当面は現状の医師数で何とかすることを考えなければならない。

中核病院と開業医との連携をいっそう強化し、開業医の先生方にもできるだけ病院の産科業務に参加していただく。具体的には、低リスクの妊婦の検診はできる限り開業医で実施していただき、婦人科外来も癌検診や軽症患者は開業医の先生方にお任せし、中核病院の外来業務の負担をできる限り軽減する。開業医の先生方にも病院の当直業務の一部を受け持っていただくように協力を要請してゆく。

医師と助産師の業務内容を見直す。助産師外来などを充実させ、医師はハイリスク妊婦の管理に集中し、低リスクの妊婦の妊娠管理・分娩管理は助産師を中心として行う。医師と助産師の協力体制を強化し、正常に経過していた妊婦に異常が発生した場合には直ちに医師が対応できるようにする。

今回、新しい試みとして、産婦人科専属のクラークを1人配置し、紹介状、紹介状の返書、生命保険の診断書などの代行入力・プリントアウトなどの業務をフルタイムでしてもらえるようになった。これらの書類の処理には今まで膨大な時間と労力を費やしていたが、有能な専属クラークが迅速に事務処理してくれるようになって書類処理の負担はかなり軽減された。

また、将来において地域で活躍してくれる臨床医が枯渇しないように、奨学金制度などによる医学生に対する支援、医学生の臨床実習、研修医の教育、専門医教育などを積極的に行なって、将来的に地域に根ざした臨床医が多く育ってくれるように努力をする必要がある。大学病院との連携を強化し、この地域内においても、臨床医としての入門期の指導から、基本~高度の技術習得の修行、専門医資格の取得、キャリア形成まで可能な体制を構築して、将来の地域医療を担う臨床医は地域でも育ててゆく地道な努力を継続してゆく必要がある。

しかしながら、地域医療の現場で我々が当面できることは知恵を絞って可能な限り実施してゆくとしても、我々現場の人間にできることには限界がある。また、我々の体力・気力もこの先いつまでもつかわからない。現場の必死の努力で地域の周産期医療が何とか崩壊せずに持ちこたえているうちに、国の方で抜本的な制度改革を早急に行っていただきたいと思う。